事件は現場で起きているんです
2011.05.27 01:21|社会情勢|
福島第一原発の事故で、政府首脳部と原子力安全保安委員会の委員長との間で、あまりにも次元の低い水掛け論をしていると思っていたら、結局のところ、現場の判断で、海水注入の中断はされていなかったようですね。
海水注入「中断してなかった」 東電が発表
2011年5月26日15時24分
東京電力は26日、福島第一原子力発電所1号機への海水注入を一時中断していた問題について、実際には発電所長の判断で中断していなかった、と発表した。本社内では「海水注入については首相の了解が得られていない」として、いったん注入を停止することを決めた。しかし、実際には発電所長が「事故の進展を防止するためには、原子炉への注水の継続が何よりも重要だ」として、注水を継続していたという。
まあ、何のデータ的証拠が無いらしいので、真実かどうかは分かりませんが・・・
もし本当に現場の判断で注水を継続していたとするならば、これはこれで、身の毛のよだつ話です。
現場責任者がたまたま気骨のある人で、今回はよかったということでしょうか?
ちなみに、こういう人らしいです。
「「本店に盾突く困ったやつ」 福島第1原発の吉田所長」
で、佐々淳行元内閣安全保障室長の話ですが、「福島第1原発の所長の判断を支持したい。私も警察時代、現場を見ていない上層部から下りてくるむちゃな命令を何度も握りつぶした経験がある。そのまま従うとさらに大変な事態になるためで、今回も処分すべきは所長ではなく、官邸の顔色をうかがって中途半端な指示を出した東京電力の上層部ではないか。それにしても東電の対応は危機管理の体をなしておらず、これほどあきれた組織だとは思わなかった」とあります。
まさにその通りという感じです。
問題なのは、上層部です。
全く危機管理の機能のない組織ということです。
以前、こんな記事を書きました。
「宇宙船地球号だとすると・・・・」
「事件は会議室で起きているのではない・・・」
まさに、『踊る大捜査線』の実話のような感じですね。
現場に事態の収拾の裁量権を与えず、机上での議論で指示を出す・・・
最悪です。
今回は、本当にたまたま運がよかった・・・ということです。
組織の硬直化というものをまざまざと見せ付けられた感があります。
本来であれば、上層部の指示を無視した以上、処分の対象になるのは当然です。
そうしなければ、組織の規律そのものが瓦解します。
注水継続の吉田所長、処分も検討…東電副社長
東京電力の武藤栄副社長は26日午後の記者会見で、福島第一原子力発電所1号機の海水注入の一時中断を見送った吉田昌郎所長の処分について、「それも含めて検討する」と述べた。
武藤副社長は、海水注入を継続したことについては「原子炉を冷やすうえで大変正しい判断をした」としたが、「報告の在り方やその後の対処について、これで良かったか検討する必要がある」と述べた。処分の内容、時期については「慎重に考えたい」とした。
(2011年5月26日16時49分 読売新聞)
けれど、この場合は、それ以上に上層部の責任が遥かに重い。
現場を信頼せず、自分たちよりもさらに事故状況が分かっていない外部の権力の意向に沿って判断をするなんて・・・
自分で何も判断できない無能と言われても、仕方が無いでしょう。
本当ならば、先ず以って現場の見解を聞き、その上で政府首脳部を説得しなければならないでしょう。
現場責任者を処分する前に、正しい判断を出来なかった上層部に人たちが先ず以って責任を取るべきでしょう。
ところで、さらに道化師の役を担ったのがこの人みたいです。
「いったい何だったのか」=二転三転に困惑の笑み―班目委員長
時事通信 5月26日(木)21時27分配信
「何がどうなっているのか教えてほしい」。東京電力が福島第1原発1号機の海水注入を中断していなかったと訂正したことについて、原子力安全委員会の班目春樹委員長は26日の記者会見で、困惑した表情を浮かべた。
注水中断問題で、政府・東電統合対策室は21日、「班目委員長が再臨界の危険性があると発言した」と発表。委員長の抗議で翌日には訂正するドタバタぶりを見せた。
班目委員長はこの日も、「せめて確認ぐらい取ってほしかった」とこぼしつつ、「訂正されたのでこれ以上申し上げない」と述べるにとどめた。
その混乱の発端となった中断が、なかったとされた。会見で班目委員長は、「すると何が問題なのか。頭の中が、はてなマーク」「本当なんですか」と不思議そうに問い返し、最後には「中断がなかったなら、いったい私は何だったんでしょう」と力なく笑みを浮かべた。
ちょっと気の毒???
まあ、それはさておき、原発のリスクとは、こういうことも考慮に入れないといけないということです。
事故の原因の多くは、ヒューマンエラーです。
人は必ずミスをします。
どんなに完璧と思われるチェック体制を敷いていても、組織は時間と共に硬直化と腐敗をし、遅かれ早かれミスをするものです。
人はミスをするもの・・・この前提に立てば、原発のリスクは、本当に冒すだけの価値があるものなのかどうか・・・です。
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海水注入「中断してなかった」 東電が発表
2011年5月26日15時24分
東京電力は26日、福島第一原子力発電所1号機への海水注入を一時中断していた問題について、実際には発電所長の判断で中断していなかった、と発表した。本社内では「海水注入については首相の了解が得られていない」として、いったん注入を停止することを決めた。しかし、実際には発電所長が「事故の進展を防止するためには、原子炉への注水の継続が何よりも重要だ」として、注水を継続していたという。
まあ、何のデータ的証拠が無いらしいので、真実かどうかは分かりませんが・・・
もし本当に現場の判断で注水を継続していたとするならば、これはこれで、身の毛のよだつ話です。
現場責任者がたまたま気骨のある人で、今回はよかったということでしょうか?
ちなみに、こういう人らしいです。
「「本店に盾突く困ったやつ」 福島第1原発の吉田所長」
で、佐々淳行元内閣安全保障室長の話ですが、「福島第1原発の所長の判断を支持したい。私も警察時代、現場を見ていない上層部から下りてくるむちゃな命令を何度も握りつぶした経験がある。そのまま従うとさらに大変な事態になるためで、今回も処分すべきは所長ではなく、官邸の顔色をうかがって中途半端な指示を出した東京電力の上層部ではないか。それにしても東電の対応は危機管理の体をなしておらず、これほどあきれた組織だとは思わなかった」とあります。
まさにその通りという感じです。
問題なのは、上層部です。
全く危機管理の機能のない組織ということです。
以前、こんな記事を書きました。
「宇宙船地球号だとすると・・・・」
「事件は会議室で起きているのではない・・・」
まさに、『踊る大捜査線』の実話のような感じですね。
現場に事態の収拾の裁量権を与えず、机上での議論で指示を出す・・・
最悪です。
今回は、本当にたまたま運がよかった・・・ということです。
組織の硬直化というものをまざまざと見せ付けられた感があります。
本来であれば、上層部の指示を無視した以上、処分の対象になるのは当然です。
そうしなければ、組織の規律そのものが瓦解します。
注水継続の吉田所長、処分も検討…東電副社長
東京電力の武藤栄副社長は26日午後の記者会見で、福島第一原子力発電所1号機の海水注入の一時中断を見送った吉田昌郎所長の処分について、「それも含めて検討する」と述べた。
武藤副社長は、海水注入を継続したことについては「原子炉を冷やすうえで大変正しい判断をした」としたが、「報告の在り方やその後の対処について、これで良かったか検討する必要がある」と述べた。処分の内容、時期については「慎重に考えたい」とした。
(2011年5月26日16時49分 読売新聞)
けれど、この場合は、それ以上に上層部の責任が遥かに重い。
現場を信頼せず、自分たちよりもさらに事故状況が分かっていない外部の権力の意向に沿って判断をするなんて・・・
自分で何も判断できない無能と言われても、仕方が無いでしょう。
本当ならば、先ず以って現場の見解を聞き、その上で政府首脳部を説得しなければならないでしょう。
現場責任者を処分する前に、正しい判断を出来なかった上層部に人たちが先ず以って責任を取るべきでしょう。
ところで、さらに道化師の役を担ったのがこの人みたいです。
「いったい何だったのか」=二転三転に困惑の笑み―班目委員長
時事通信 5月26日(木)21時27分配信
「何がどうなっているのか教えてほしい」。東京電力が福島第1原発1号機の海水注入を中断していなかったと訂正したことについて、原子力安全委員会の班目春樹委員長は26日の記者会見で、困惑した表情を浮かべた。
注水中断問題で、政府・東電統合対策室は21日、「班目委員長が再臨界の危険性があると発言した」と発表。委員長の抗議で翌日には訂正するドタバタぶりを見せた。
班目委員長はこの日も、「せめて確認ぐらい取ってほしかった」とこぼしつつ、「訂正されたのでこれ以上申し上げない」と述べるにとどめた。
その混乱の発端となった中断が、なかったとされた。会見で班目委員長は、「すると何が問題なのか。頭の中が、はてなマーク」「本当なんですか」と不思議そうに問い返し、最後には「中断がなかったなら、いったい私は何だったんでしょう」と力なく笑みを浮かべた。
ちょっと気の毒???
まあ、それはさておき、原発のリスクとは、こういうことも考慮に入れないといけないということです。
事故の原因の多くは、ヒューマンエラーです。
人は必ずミスをします。
どんなに完璧と思われるチェック体制を敷いていても、組織は時間と共に硬直化と腐敗をし、遅かれ早かれミスをするものです。
人はミスをするもの・・・この前提に立てば、原発のリスクは、本当に冒すだけの価値があるものなのかどうか・・・です。
・・・・・・・・今日の徒然でした。

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