林業の中の“ウソ”があるらしい。その1

2010.03.16 01:41|森の不思議、木の不思議
本日は、こんな記事からどうぞ・・・

林業は衰退産業という“ウソ”

林業は途上国の産業という“ウソ”

日本の林業の問題点と展望が論じられていますが、なかなか興味深い内容です。

まずは一つ目の記事について・・・

林業への就労希望は拡大してきており、先日、東京、名古屋、大阪で開催された林業への新規就労への説明会には、会場を埋め尽くすほどの人が押し寄せ、相談ブースでは行列ができるほど盛況を極めた。

とあるように、地方への移住の受け皿として林業も注目されています。

しかし、以前も書きましたが、現時点の作業内容からすると、都市住民がおいそれと適応できるような職種ではありません。

急傾斜地で、丸太という重量のある物を扱い、それをチェーンソーなどの刃物で切る・・・これは、かなりの危険度の高い作業です。

Iターンの若者が林業に従事し、作業中に怪我をして都会に帰る・・・このパターンは、結構よく耳にします。

ちなみに、農業の場合は、ほとんどこれを聞いたことがない。

それぐらい危険度が高いので、基礎的な身体能力、と言っても、バーベルで何キロ上げられるとかではなく、山仕事で培われた筋肉と言うかバランス感覚というか・・・そんなものが必要になってきます。

これを都会育ちの人間が持っていることは殆どないし、移住してから鍛えたとしても、それに順応できるだけの才がある人は稀です。

しかも、熟練の技術を必要とします。

 日本では林業は労働集約産業だと思われているが、これは大きな誤解である。例えば木材生産を効率よく行うには、高度なマネジメント能力と技術力が要求される。立木の伐採1つとっても、その倒す方向によって、その木を運び出すという次の工程の生産性に大きな影響を及ぼすが、決められた方向に、残っている立木に傷をつけずに倒すには、熟練した技術力が不可欠である。

都会の人は、樹木というのは単純にチェーンソーで切ればよいだけと思いがちですが、全くそんな単純なものではないのです。

杉にせよ檜にせよ、生育環境によって一本として同じものはないので、どのように伐採していくか、その都度その都度で判断が要求されるのです。

たとえば、樹木の上には枝と葉っぱが繁茂しているわけですが、たいていの場合、これが絡まっているわけです。ですので、単純にチェーンソーで根元を切っても、それだけでは枝が引っかかって倒れません。これを下から見て判断し、楔を打つなどして自分の思った方向に倒すのです。

プロの技を見ていると、とっても感服してしまいます。

そして、もし一歩間違うと、撥ね木が自分を襲い、死亡事故が起こります。

さらに引用すると・・・

 また木材生産は複数の工程からなっており、その工程間の生産性に格差があると、その分、無駄が生じ生産性は落ちてしまうことから、単に機械を運転する技術のみならず、工程管理などのマネジメント能力も要求される。しかも林業はどれ1つとして同じ現場はなく、それぞれの現場ごとに判断を迫られることになる。このため、1人ひとりの能力やモチベーションをいかに高めるか、その組織の人事管理などの経営手腕そのものも問われる。


林道をつけるにしても、丸太を切るにしても、一旦やれば、それを回復させるには、膨大な時間と手間がかかりますので、まさに「木を見て森を見ず」のミクロな視点での経営をすると、あっという間に破綻しています。

さらに引用すると・・・

今も夢見る“林業バブル”

 日本で林業が衰退した最大の理由は実は単純で、戦後、資源を伐り尽くしてしまったことである。

 例えば、林業が絶好調だった1960年代前半の木材生産量は、6000万立方メートルにも達していた。これは、現在の3倍以上の水準である。ところが、当時の日本の森林蓄積は20億立方メートルに過ぎず、そうした中で6000万立方メートルもの木材生産を行うことは、30年余りで日本の全森林を伐り尽くしてしまうほどの過伐状態だったことを意味する。

 高く売れるからといって、成長量をはるかに超える伐採を繰り返していけば、林業が成り立たなくなるのは当たり前である。日本の木材生産量が1960年代初頭をピークに、以降、一貫してきれいに右肩下がりで推移してきているのは外材のせいではなく、過伐によって供給できる資源がなくなってきたためである。日本の人工林の8割がいまだ50年以下であるということは、この事実を如実に物語るものだ。

 そして、こうした国産材の供給能力の減少を補ったのが外材である。高度成長期の木材需要は1億立方メートルにも達しており、仮に外材が入ってこなかったとしたら、森林資源にはさらに負担がかかって、日本の山は荒廃きわまっていただろう。外材のおかげで国内資源を育成する時間的余裕が与えられ、これによって現在の50億立方メートルにも迫る森林蓄積を築き上げることができたのである。

 林業が衰退したもう1つの理由は、過去の成功体験があまりにも大きかったことである。

 戦後から高度成長期にかけては、住宅や紙パルプ需要が旺盛なことから木材価格が高騰しており、相対的に低い賃金コストと相まって、伐れば伐るほど儲かる時代が続いた。さらに、「役物(やくもの)」と言われる節のない高品質の材が飛ぶように売れた時代でもあり、当時はいいものを作れば高く売れた。また、林業があまりにも儲かったことから、伐った後に放置することなどありえず、次の収穫を夢見て自ずと植林した。


日本は、高度経済成長期に、それまで連綿と受け継がれてきた木材資産を消化し尽くしてしまった。

これは、林業県の高知の山を見れば、よく分かります。

人工林が沢山ありますが、その樹齢は、だいたい50年生以前のものが殆どです。

この時期に、国策で植えまくったのです。

植林するとお金になる時期があって、その時に、これまで保全林として残されていた谷筋や尾根筋の広葉樹林帯まで、どんどん伐採して針葉樹を植えていったのです。

谷筋や尾根筋をなぜ残さないといけないのか、これは別の機会に譲るとして、これぐらい消化し尽くしてしまったのです。

林業に予算をつけたことが荒廃を促進したという側面があったことは否めないような気がします。

そして今ですが、やはり場当たり的な補助になっています。

まずは全体の制度設計から

 仮にこのような人材養成もなされていない、それを受け入れる組織の人事管理もいい加減な中で、政府が補助金を投入したらどうなるか?

 林業の現場では、木を運び出すノウハウも路網もないため、補助金の多くは、単に木を伐り捨てて間引くだけの作業に支出されている。そうした「伐り捨て間伐」も、森林所有者を取りまとめて計画的にやるのならまだしも、単に仕事の取れたところを場当たり的に行うのがほとんどであり、中には歩いて1時間以上もかかる現場もあるほどだ。このような虫食い的な作業では、いくら木が太っても永遠に補助金依存から抜け出せないし、1000万ヘクタールにおよぶ人工林資源は到底管理しきれるものではない。

 最近では路網整備にも予算が大幅につけられるようになっているが、そのための人材が育っていない中での単なる予算づけは、極めて危うい。実際、路網づくりの現場をみると、自己流で壊れやすい危険な道だらけである。また、技術力がない中で無理して間伐した木を出そうとして、周りの木が傷だらけということも日常茶飯に起こっており、現場は無秩序に近い状態だ。

 法制度の不備も深刻である。日本では、皆伐の面積制限に関するきちんとしたルールすら存在せず、5ヘクタールを超えるような大面積で皆伐し、あとは植林をせず放置ということも珍しくない。大量の補助金を投入して路網整備・間伐を行って森を育ててきても、その路網を利用して皆伐してしまわれるようであっては、補助金投入の意味そのものが問われることになってしまう。そもそも、伐採後の放置は、先進国では「違法伐採」そのものである。

 林業再生の可能性は高まっているとはいえ、単にカネをつけるだけでは問題解決にはつながらない。将来への投資となるような全体の制度設計こそがまずあるべきであり、そうでないかぎりいくらカネを注いでも、砂地に水をまくに等しい行為に終わってしまう。人材養成やルール整備など、知恵も足も使って初めて、財政支出を将来への投資とすることができるのである。このことは、基本的にこれからの政策すべてに共通する課題であり、「新成長戦略」の基本理念そのものでもある。


日本の山は、山主が複雑に入り組んでいて、それぞれが個別に補助を受けるような感じになっていて、まさに虫食い的作業になってしまっています。

山主さんの山への思い入れも強いので、ここら辺は難しい問題だと思います。

そして、作業道(路網)にしても、まさに試行錯誤で、確立されていない。

この近くでは、田辺由喜男さんという方が四万十式作業道という技術を提唱していますが、さて今はどうなっているのでしょう?

四万十町役場を早期退職され、この地を離れたとは聞きましたが、その後に四万十式作業道の取り組みがどうなったかは、私もあまりよく知りません。

全国から研修・視察が多数来ていましたが、地形、地質なども各地で違うので、この技術がそのまま汎用的に適用できるかと言うと、林業に携わる人に伺うと、どうも???ということみたいですが、作業道の開設が林業再生に不可欠であることは間違いなさそうです。

次回は、林業は途上国の産業という“ウソ”を参考に・・・

・・・・・・・・今日の徒然でした。


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家主:奥の家♂
1999年7月5日に四国に上陸しました。
巷では、ノストラダムスの大予言で恐怖の大王だの、終末がどうのこうの・・・と話題になっていた、あの月です。
そんな時、リトルカブに乗って、四国に移住の地を求めて彷徨う旅を始めました。

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