韓国に見るパススルー経済について

2009.08.15 04:11|アジア経済(韓国、中国)
ところで、こんなビジネスコラムを読みました。

第86回「韓国の資本効率はなぜ上昇したのか」(2009/08/10)
ソース:日経ネット

色々と興味が沸きましたので、取り上げてみることにしました。

まあ、韓国の投資効率が良いということなのですが、その要因がウォン安にある、という論調ですね。

その理由は、引用させてもらうと・・・

 投資の対GDP比率が低下した理由はよく分からないが、まず、97~98年のアジア通貨危機による大不況で財政が悪化し、不急不要な公共投資を削減するしかなかったからだろう。これで公共投資の減少は説明できる。ではなぜ民間投資も削減することになったのだろうか。不況だから投資が減るのは当然である。ここで問題としているのは、不況が収束して成長率が危機以前の水準に戻り、少ない民間投資でほぼ同じ成長率を達成できるようになった理由である。ここからは推測が入る。為替レートが下落するとは、ドルで計った賃金が低下することである。賃金が低下すれば、より労働集約的な生産方式でも競争力を持つようになる。そこで投資が少なくてすむようになった。輸出が増えるとは、それだけ国内の効率の低い産業が輸入に置き換わったことを示す(韓国の経常収支の黒字はそれほど大きくはないから、輸出と輸入はほぼパラレルに伸びている)。効率の低い産業は、おそらく労働集約的な産業が多いだろうから、これだけでは深刻な雇用問題を引き起こす。しかし、ドル建てでの賃金が下落することにより、一部の輸入競合産業、競争力の低い輸出産業が生き残ることができた。これが雇用問題の深刻化を防ぎ、かつ少ない投資でこれまでと同じ率の成長を可能した。要するに為替レートの下落が、投資の効率性を高めたのである。

 このストーリーは、日本のことを考えるとより信憑(しんぴょう)性を増す。90年代初頭の経済危機では、為替が下がるどころか超円高になった。円高になっても競争力を保つためには、資本集約的な生産設備を持つしかない。資本集約的な設備は、当然雇用を拡大しない。しかし、従業員を解雇することは難しいので、資本集約的設備により多く投資するしかなかった。これは資本の効率を低下させる。日本は円の上昇で資本効率が低下し、韓国はウォンの下落で資本効率が上昇した。


韓国の資本効率

このデータを見て、韓国は投資効率が良くていいじゃないか、と思われた方がいたら・・・・まだまだですね(笑)。

そもそも、輸出は増えているけど、国内への投資が少ないということは、内需が育っていないということ・・・・結果、雇用無き経済成長になっているということです。

まあ、パススルー経済であることを如実に物語っているわけです。

韓国経済において、通貨危機が経済構造の転換点であったことがよく分かる図なのですが、ウォン売りを浴びせられたことで、一気にウォン安になり、経済破綻に近くなり、そこで一気にハゲタカさんに買われて、まさに外資の植民地に近い状況まで陥ってしまった。

ハゲタカさんにとって重要なのは、韓国の内需(雇用創出)ではなく、投資効率(運用実績)なので、ここから怒涛のごとく、そういう投資の仕方がされています。

まず、固定資本、設備投資、機械機器の比率が落ち込んでいるのは、そういう産業が育っていないということです。

どういうことかというと、よく言われているように、日本から部品・素材を輸入し、韓国国内で組み立てて、それを欧米に輸出しているということです。

組み立て工程は、以前もパソコンを例に挙げましたが、技術開発などにあまり投資を必要としません。

その一方で、最終的な完成製品を輸出するのですから、金額ベースでは高くなります。

パソコンを例に取ると、部品を取り寄せれば、素人でも組み立てられるぐらい簡単な工程なのですが、出来上がった製品の販売価格は高くなります。

部品の購入に9万円を使って、それを組み立てて10万円で販売するような構図なのですが、完成の販売価格は10万円なので、輸出額は大きくなります。けれど、部品を9万円分購入しているので、あまり大きな利益はありません。

組立て工程ラインの場所さえ作れば、そんなに投資はいりません。

重要なのは、安価な労働力と立地条件です。

市場競争力は、部品が一緒なのですから、薄利多売力とマーケティング(広告)にかかって来ます。

薄利多売力は、安価な人件費は言うまでもありませんが、部品を効率的に集められる集積立地に無いと難しいです。

まあ、日本で製造した部品を南米に持っていて組立て、それを欧米に輸出するようなことをしたとすると、それだけ輸送コストなどがかかるということです。

安価な人件費という意味では、為替レートが連動していることでよく分かります。

ウォン安で人件費が安くなることで輸出が伸び、ウォン高になって人件費が高くなると、組立て拠点が中国に移転して行ったわけです。

こういうパススルー経済の構造を持っているので、輸出の増加は輸入の増加に直結し、韓国の対日赤字がすごいことになっているのです。

対日経済依存度は依然高く、実利確保は日本へ

【ソウル14日聯合ニュース】1999年から2008年までの10年間の対日計上赤字が1749億4120万ドル(約16兆7000億円)に上ることが、韓国銀行の集計で明らかになった。
 対日赤字が続くのは、日本製の部品・素材を輸入し、国内で加工して第3国に輸出する産業構造が変わらないためだ。2002~2008年の対日部品・素材輸入の増加要因をみると67%は海外需要、すなわち輸出製品をつくるためのものだった。

 部品・素材産業の対日貿易収支赤字額は年々急増しており、昨年は209億4000万ドルで、全対日貿易赤字に占める割合が64%に達した。こうした構造のなか、原材料価格の上昇とウォン安・円高現象が部品・素材輸入単価の上昇につながり、貿易赤字を拡大させる要因となっている。

 日本の所得が増えた分だけ、韓国商品の需要が増えないことも問題だ。産業研究院によると、韓国の対日輸出に対する日本の所得弾力性、日本の所得増加に伴う韓国産商品の需要増加の程度は0.84~0.92にすぎない。一方、対日輸入に対する韓国の所得弾力性は1.91~2.71で、倍を上回る。

 これは、両国の所得が同様に増加すると仮定した場合、韓国の所得増に伴う日本商品の輸入増加効果が、日本の所得増に伴う韓国商品の輸出増加効果より大きいことを意味する。研究院は、韓国の所得増加率(経済成長率)が日本を上回る傾向が続く可能性が高いことを考慮すると、経済成長に伴う対日輸入増加率は輸出増加率を上回り続け、貿易赤字はさらに拡大すると見通す。

 韓日の競争力の格差も、対日貿易赤字の背景となっている。国際経営開発研究所(IMD)が発表した2009年版の「世界競争力年鑑」によると、韓国の総合国家競争力は57カ国・地域中27位と評価された。一方、日本の評価は17位だ。また、国際透明性機構(TI)が調査した2008年の腐敗度指数(CPI)で、韓国は10点満点5.6点と、経済協力開発機構(OECD)30カ国中22位にとなっている。日本は7.3点で18位だった。

 韓国は輸出量を名目国内総生産(GDP)で割った輸出依存度が昨年は52.9%だった。国民の生活の半分以上を輸出に頼っていることになる。株式公開(IPO)プで、輸出品を製造する部品と素材はほとんどが日本から輸入しているため、経済が発展すればするほど、日本への経済依存度は高まり、赤字がふくらむ。

 日本のある経済評論家は1980年代末に、こうした状況に置かれた韓国を「鵜(う)」に例えた。韓国企業が鵜のように輸出市場で魚を捕らえると、日本の部品・素材企業が実利の魚を得る。

 韓国経済研究院のペ・サングン研究委員は、「鵜」の立場から抜け出すために、金融危機を経た今が、海外部品・素材企業を対象に合併・買収(M&A)などを検討する時だと指摘する。また、対外経済政策研究院のチョン・ソンチュン日本チーム長は「グリーン技術」だけは日本の技術力に遅れないよう、積極的な政府支援が必要だと訴えた。日本は向こう5年間で300億ドルを環境・エネルギー分野の技術開発に投入することを決めている。韓国企業に「匠の精神」が期待できなければ、政府がグリーン技術の研究・開発に投資すべきだとの立場だ。

 日本からの輸入を減らそうと努力するよりも、日本国内市場の攻略や、サービス収支の黒字幅を拡大する方向に発想を転換すべきだとの意見もある。現代経済研究院のイ・ブヒョン実体経済室長は、先進国企業のアウトソーシング経験を積み、日本市場を攻略できるブランドパワーを構築すべきだと話す。商品収支赤字が避けられないのなら、代わりにサービス業を育成し、対日貿易黒字を狙うことも可能だとアドバイスした。


韓国の資本効率の推移は、この10年がパススルー経済による見せ掛けの経済成長であったことをよく表しています。

ウォン安からウォン高になると、安価な人件費という前提が崩れるので、組立て拠点が中国などの海外に流出してしまう。

日本から部品を輸入し、中国で組立て、韓国経由で欧米に輸出する・・・・という構図にシフトしてしまうのです。

結果、輸出は伸びても、固定資本などは増えない・・・・韓国ブランドという名は付いていても、その売上からすると極めて低い実利しかないわけです。

しかし、投資効率は良いです。

右から左へ流すだけで、しかも、固定資本への投資も少なく、人件費があまり掛からないのですから、薄利多売の規模を確保すれば、それなりの収益率は確保できます。

でも、雇用はあまり創出されず、内需は低迷します。

韓国の雇用問題が深刻でないかと言うと・・・深刻ですから!!

じゃ、内需を支えているのは何かと言うと・・・・バブルです。

ハゲタカさんたちにとって重要なのは、投資効率(運用利率)なので、運用実績の上がる韓国株などに資金が流入します。

それが株価上昇に繋がり、それに乗り遅れまいとする韓国民が借金をしてでも資金をつぎ込もうという心理に陥り、さらに株価を上昇させ、そこで余った資金が不動産にも流れ、さらなる価格高騰を惹き起こす・・・・・こうして見事なバブル経済のスパイラルが出来て、雪だるま式に借金が増えて行く。

もちろん、借金の一方で、資産も増えて行くのだけど、それは、株や不動産などで、バブルがはじけたら一気に価値が無くなってしまうようなものなのです。

でも、見かけ上の金持ちにはなりますから、まさにバブル消費が起こり・・・・日本のバブル期がそうであったように、見栄消費で値段の高いものの方が売れるという不可思議現象が起こる。

それが国内で多角海外で安くというダンピング販売を可能とし、さらに薄利多売を更に促進し、投資効率を高める・・・・

・・・・

というような感じで、儲かっているのは、何処までもハゲタカさんなのです。

こりゃ、びっくり!!というぐらい良く出来た搾取構造です。

ですので、ハゲタカさんたちが儲かっている時は、韓国経済は好調になり、その逆に大損をしたら、大打撃を食らうのです。

                  ・・・・・・・・・・今日の徒然でした。


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1999年7月5日に四国に上陸しました。
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そんな時、リトルカブに乗って、四国に移住の地を求めて彷徨う旅を始めました。

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